如月日記

二月に始めるから如月日記

『迷子犬と雨のビート』

 撮り溜めた再放送のアニメ『四畳半神話大系』で爆笑していた。男の純情と貞操回ともいうべき6,7,8話でこれほど笑っていたら父上が悲しむに違いない。

 表題の『迷子犬と雨のビート』は上記アニメの主題歌のアジカンの曲で、アジカンはそんなに詳しくないけれど、この曲はとても琴線に触れたというかぐっときたのでiTunesで曲買っちゃった。

 “人々は厚い雲で顔を隠して

 行き場のない想いをずっと持って研いでいる

 何もない街に埋もれてもそれでも今でも”

 ここが好き。京都を舞台にしたアニメの主題歌であるせいも多分にあるけど、それにつけてもついこの間までの京都で無為に過ごした時を思い出す。

 京都市の名誉のために断っておくと、京都は決して “何もない街” ではない。 むしろ何でもある華やかな街だと思う。学生街だから若者が多いし、言わずと知れた観光地であるからグローバルにもドメスティックにも観光客だらけ、しかもそれは年々増えているらしい。花も紅葉も見所多い。個人的には喫茶店と書店と郵便局が充実している点に住み良さを感じる。

 胸を打ったのは “何もない街” ではなく “街に埋もれてもそれでも” である。 

 何だか自由な気持がして無為に暮らしていると、街に埋もれている気がした。いつも自転車に乗ってどこにでも行っていたからというのもあるかもしれない。川端通りの桜の下を過ぎたときの春の清々しさや、雨で下宿から出られなくて腹減らしてた時や、十月初旬の賀茂大橋の寒さに風邪引いたことを思い出す感じがする。

 『四畳半神話大系』の「私」が無意義な学生生活を嘆くみたいに私も自分の平凡さを嘆きたくなる時もあったけれど、郷里に引っ込んだ今となってはこのアニメを見て主題歌を聴いていると、どちらかというとその無為で平凡な暮らしを繰り返したくなる。

 何が言いたいかというと、京都はいいところだよっていう話になる。

 

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