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如月日記

二月に始めるから如月日記

十八歳の本棚

 実家の自室の本棚が、十八歳のまま時を止めていた。

 やがて生まれてきて四半世紀になんなんとする女の本棚に、数学ⅡBやら赤本やら英作文の極意みたいな参考書が並んでいるのはいかにもまずい。ただの片付け下手の面倒くさがりと過去の栄光を並べてはばからないタイプとは紙一重と思われた。

 実家の自室の本棚は十八歳のままとして、十八から十九になるときに住んでいた京都の下宿は、可処分空間を圧迫してはばからない大きな本棚とその他家具が備え付けられた六畳だった。その部屋に一年住み、本棚には大学で買った教科書と数冊しか買わなかった新刊が並ぶ。

 その後引っ越して三年二か月住んだ部屋では、リサイクルショップで見繕ったカラーボックスを本棚にして、古本屋で買い集めた本が詰め込まれた。ほしい本が少し安く買えるというだけで、古本が好きになっていた。図書館好きの高校生であったがこの二回の頃から本の所有欲に目覚め始めた。

 郷里に戻って十八歳の本棚に直面し、面倒くさがって放置したのち、先日ようやく意を決して二十三歳の本棚に作り変えた。この五年間で買い集めた古本、新刊、教科書、最近増えた新しい本や画集も並ぶ。楽しい作業であった。

 マイブームの森見登美彦著作とお気に入りの村上春樹著作が目の高さの棚に並ぶ。その下の段に、いつか読もうと思って買った漱石と、ブックオフで見つけた谷崎潤一郎マゾヒズム小説集なるもの、向田邦子、昔ハマった万城目学、太宰、膝を打った新書、映画から入った海外小説など。積ん読もいつかは読むのでしれっと配する。配架という作業は楽しい。

 全面に森見登美彦を目立たせたせいで父上からは「さては社会に出たくない感じ?」とやすやすと正鵠を射られた。父上、ご明察の通り。あなたの娘は留年して泣きべそをかいていたこともあるくらい、社会に適応できるか怪しい子です。でも頑張ります。どうか温く見守っていただきたい。